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建築物石綿含有建材調査者講習の解説

石綿等の使用の有無の調査及び調査者について

石綿障害予防規則では、では、建築物などを解体または改修する場合にあらかじめ石綿の使用の有無を調査しなければならないことや、特に2023年10月1日からは建築物石綿含有建材調査者の資格の所持者が事前に調査をしなければならないことが定められています。

石綿障害予防規則 第3条(事前調査及び分析調査)

第1項

事業者は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。以下「解体等対象建築物等」という。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。

●「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備を含むものであること。

●「工作物」とは、建築物以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てをいい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレータ-等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する配管等の設備等があること。 なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物であるが、昇降路の壁面は建築物であることに留意すること。

●「鋼製の船舶」とは、船体の主たる構造材が鋼製のものをいうものであること。

● 以下に掲げる作業は、石綿等の粉じんが発散しないことが明らかであることから、石綿による健康障害を防止するという石綿障害予防規則の制定目的も踏まえて、建築物、工作物又は船舶の解体等の作業には該当せず、事前調査を行う必要はないものであること。

ア 除去等を行う材料が木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等の石綿等が含まれていないことが明らかなものであって、手作業や電動ドライバー等の電動工具により容易に取り外すことが可能又はボルト、ナット等の固定具を取り外すことで除去又は取り外しが可能である等、当該材料の除去等を行う時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業。

イ 釘を打って固定する、又は刺さっている釘を抜く等、材料に、石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業。なお、電動工具等を用いて、石綿等が使用されている可能性がある壁面等に穴を開ける作業は、これには該当せず、事前調査を行う必要があること。

ウ 既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業等、現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業。

エ 国土交通省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたaからkまでの工作物、経済産業省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたl及びmの工作物、農林 水産省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたf及びnの工作物並びに防衛 装備庁による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたoの船舶の解体・改修の作業。
a 港湾法(昭和 25 年法律第 218 号)第2条第5項第2号に規定する外郭施設及び同項第3号に規定する係留施設
b 河川法(昭和 39 年法律第 67 号)第3条第2項に規定する河川管理施設
c 砂防法(明治 30 年法律第 29 号)第1条に規定する砂防設備
d 地すべり等防止法(昭和 33 年法律第 30 号)第2条第3項に規定する地すべり防止施設及び同法第4条第1項に規定するぼた山崩壊防止区域内において都道府県知事が施工するぼた山崩壊防止工事により整備されたぼた山崩壊防止のための施設
e 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和 44 年法律第 57 号)第2条第2項に規定する急傾斜地崩壊防止施設
f 海岸法(昭和 31 年法律第 101 号)第2条第1項に規定する海岸保全施設
g 鉄道事業法施行規則(昭和 62 年運輸省令第6号)第9条に規定する鉄道線路(転てつ器及び遮音壁を除く)
h 軌道法施行規則(大正 12 年内務省令運輸省令)第9条に規定する土工(遮音壁を除く)、土留壁(遮音壁を除く)、土留擁壁(遮音壁を除く)、橋梁(遮音壁を除く)、隧道、軌道(転てつ器を除く)及び踏切(保安設備を除く)
i 道路法(昭和 27 年法律第 180 号)第2条第1項に規定する道路のうち道路土工、舗装、橋梁(塗装部分を除く。)、 トンネル(内装化粧板を除く。)、交通安全施設及び駐車場(1(イ)の工作物のうち建築物に設置されているもの、特定工作物告示に掲げる工作物を除く。)
j 航空法施行規則(昭和 27 年運輸省令第 56 号)第 79 条に規定する滑走路、誘導路及びエプロン
k 雪崩対策事業により整備された雪崩防止施設
l ガス事業法(昭和 29 年法律第 51 号)第2条第 13 項に規定するガス工作物の導管のうち地下に埋設されている部分
m 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(平成9年通商産業省令第 11 号)第3条に規定する供給管のうち地下に埋設されている部分
n  漁港漁場整備法(昭和 25 年法律第 137 号)第3条に規定する漁港施設のうち基本施設(外郭施設、係留施設及び水域施設)
o 自衛隊の使用する船舶(防熱材接着剤、諸管フランジガスケット、電線貫通部充填・シール材及びパッキンを除く)

第2項【令和3年4月1日施行に関する項目です。】

前項の規定による調査(以下「事前調査」という。)は、解体等対象建築物等の全ての材料について次に掲げる方法により行わなければならない。

一 設計図書等の文書(電磁的記録を含む。以下同じ。)を確認する方法。ただし、設計図書等の文書が存在しないときは、この限りでない。

二 目視により確認する方法。ただし、解体等対象建築物等の構造上目視により確認することが困難な材料については、この限りでない。

●事前調査は、解体等対象建築物等の全ての材料(以下「調査対象材料」という。)について、設計図書等の 文書を確認した上で、実際に調査対象材料が当該文書のとおりであるかどうかを確認するために、目視によ る確認も義務づけたものであること。

●第2項第1号の「設計図書」とは、建築物、その敷地又は工作物に関する工事用の図面及び仕様書のことであること。

●第2項第1号の「設計図書等」の「等」には、施工記録、維持保全記録、第8条の規定に基づく発注者からの情報が含まれるものであること。

●設計図書等の文書を確認する方法には、調査対象材料に直接印字されている製品番号を確認する方法も含まれること。

●事前調査において、調査対象材料に石綿等が使用されていないと判断する方法は、次のア又はイのいずれかの方法によること。なお、設計図書にノンアスベスト材料等、石綿等が使用されていない建材であることの記載がある場合であっても、労働安全衛生法令の適用対象となる石綿等の含有率は数次にわたり変更されているため、材料の製造当時は法令適用対象外として石綿等の使用がないと判断されていたとしても、現行の法令では適用対象となる場合もあることから、設計図書の記載のみをもって石綿等が使用されていないと判断することはできないこと。
ア 調査対象材料について、製品を特定し、その製品のメーカーによる石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等と照合する方法。
イ 調査対象材料について、製品を特定し、その製造年月日が平成 18 年9月1日以降(第3条第3項第4号から第8号までに掲げるガスケット又はグランドパッキンにあっては、それぞれ当該各号に掲げる日以降)であることを確認する方法。

第3項【令和3年4月1日施行に関する項目です。】

前項の規定にかかわらず、解体等対象建築物等が次の各号のいずれかに該当する場合は、事前調査は、それぞれ当該各号に定める方法によることができる。

一 既に前項各号に掲げる方法による調査に相当する調査が行われている解体等対象建築物等
当該解体等対象建築物等に係る当該相当する調査の結果の記録を確認する方法

二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成三十年法律第六十一号)第四条第一項の有害物質一覧表確認証書(同条第二項の有効期間が満了する日前のものに限る。)又は同法第八条の有害物質一覧表確認証書に相当する証書(同法附則第五条第二項に規定する相当証書を含む。)の交付を受けている船舶
当該船舶に係る同法第二条第六項の有害物質一覧表を確認する方法

三 建築物若しくは工作物の新築工事若しくは船舶(日本国内で製造されたものに限る。)の製造工事の着工日又は船舶が輸入された日(第五項第四号において「着工日等」という。)が平成十八年九月一日以降である解体等対象建築物等(次号から第八号までに該当するものを除く。)
当該着工日等を設計図書等の文書で確認する方法

四 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下この項において同じ。)であって、平成十九年十月一日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの
当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

五 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成二十一年四月一日以降にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの
当該新築工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

六 平成十八年九月一日以降に製造工事が開始された潜水艦であって、平成二十一年四月一日以降にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの
当該製造工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

七 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業の用に供する施設(次号において「化学工業施設」という。)の設備であって、平成二十三年三月一日以降にその接合部分にグランドパッキンが設置されたもの
当該新築工事の着工日及び当該グランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

八 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業施設の設備であって、平成二十四年三月一日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの
当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設 計図書等の文書で確認する方法

●第1号について、過去において既に建築物についての石綿等の使用の有無に関する調査が行われている場合や、プラントの定期検査等により石綿等の使用の有無に関する調査が行われている場合等であって、これらの調査方法が、第3条第2項第1号及び第2号に規定する方法に相当する場合は、これらの調査結果の記録を確認することで足り、改めて事前調査を行う必要はないことを規定したものであること。

●第2号について、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成 30 年法律第61 号)第3条第1項 に規定する有害物質一覧表は、船舶に使用されている材料について、石綿等を含む有害物質の使用の有無及び使用箇所を調査し、記録したものであること、並びにこの一覧表の内容が船舶の状態と一致するものであることを国土交通大臣が確認したものが同法第4条第1項に規定する有害物質一覧表確認証書又は同法附則第5条第2項に規定する有害物質一覧表確認証書に相当する証書であることから、これらの証書の交付を受けている船舶は、適切に事前調査が行われているものとみなすことが可能であるため、当該船舶については、有害物質一覧表を確認することで足り、改めて事前調査を行う必要はないことを規定したものであること。

●第3号について、石綿等は、一部のガスケット又はグランドパッキンを除き、平成18 年9月1日以降は製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用することが禁止されている(法第 55 条並びに労働安全衛生法施行令(昭和 47 年政令第 318 号)第 16 条第4号及び第9号)ことから、建築物、工作物又は船舶の着工日(日本国外で製造された船舶については日本に輸入された日)が同日以降であることを設計図書等で確認することをもって事前調査を行ったものとみなすことができることとしたものであること。

●第4号から第8号までについて、平成 18 年9月1日に石綿等の製造等が禁止された後も、一定期間当該禁止措置が猶予されていた一部のガスケット又はグランドパッキンが使用されている可能性がある工作物又は潜水艦については、そのガスケット又はグランドパッキンの設置日が、禁止措置が猶予されていた期間が終了した日以降であることを設計図書等で確認することをもって事前調査を行ったものとみなすことができることとしたものであること。

建築物石綿含有建材調査者について

2023年10月1日からは建築物石綿含有建材調査者の資格者が調査をしなければならないことが められています。

石綿障害予防規則 第3条(事前調査及び分析調査) 第4項

事業者は、事前調査のうち、建築物に係るものについては、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない

●事前調査が不十分なまま工事が行われる事例が認められたことから、建築物については、必要な知識を有する者として厚生労 働大臣が定めるもの(石綿障害予防規則第3条第4項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和2年厚生労働省告示第 276号。以下「事前調査者告示」という。)に規定する以下のア又はイに掲げる者)による事前調査の実施を義務付けたもので あること。なお、本規定の要件を満たす者が十分な人数確保されるまでの期間を勘案して、本規定の施行は令和5年 10 月1日としているが、本規定の施行前であっても、事前調査は必要な知識を有する者に行わせることが望ましいこと。
ア 建築物(建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成 30 年厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号。以下「登録 規程」という。)に規定する一戸建ての住宅及び共同住宅(長屋を含み、店舗併用住宅は含まれない。)の住戸の内部(住戸 の専有部分を指し、内部以外の部分(ベランダ、廊下等共用部分)は含まれない。)(以下「一戸建て住宅等」という。)を除 く。)の事前調査については、登録規程に規定する一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者又は これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者(令和5年9月 30 日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録 され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者)
イ 一戸建て住宅等の事前調査については、アに掲げる者又は登録規程に規定する一戸建て等石綿含有建材調査者

第3条(事前調査及び分析調査) 第4項の解説のポイント

●2023年10月1日からは調査者の資格を持つ者が事前調査をしなければなりません。

●資格の名称は、建築物石綿含有建材調査者講習といいます。

●資格を取得するには国の登録を受けたの教習機関で講習を受けて試験に合格する必要があります。

●建築物石綿含有建材調査者講習の種類は一般的には次の2種類があります。
一般建築物石綿含有建材調査者講習
一戸建て等石綿含有建材調査者講習
なお一般建築物石綿含有建材調査者講習は、一戸建て等石綿含有建材調査者講習の内容がすべ て含んだ上位資格です。

一般建築物石綿含有建材調査者講習の取得をおすすめします。(那加クレーンセンターで実施)

資格のない方は受講できませんのでご注意下さい。

石綿障害予防規則のあらまし

石綿障害予防規則の基本について理解しましょう。

石綿障害予防規則の概要

2004年10月に、1重量%を超えて石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤など10品目の製造等が禁止となり、 さらに、2006(平成18)年9月から0.1重量%を超えて石綿を含有する製品の製造等が禁止となりました。
石綿および石綿含有製品の規制は、以前は特定化学物質等障害予防規則(現在は、特定化学物質障害予防規則、 以下「特化則」という。)に規定されていましたが、この規定は主に石綿含有製品の製造、取扱い作業が中 心で、石綿含有製品の製造等の禁止に伴い、石綿含有製品を使用している既存建築物等の解体等を行う場合 の措置を明確にするため、特化則から独立して2005年に石綿障害予防規則(以ド「石綿則」という。)が新た に制定されました。
石綿則は、石綿等の取り扱い業務として、1解体等の業務に係る措置、2労働者が石綿等にばく露するおそ れがある建築物等における業務に係る措置、3石綿等を取り扱う業務に係るその他の措置となっており、さ らに、設備の性能等、管理、測定、健康診断、保護具等が規定されています。
これらの規定のうち、建築物石綿含有建材調査者に関係する主な規定は、石綿則第3条(事前調査と分析調査) にあります。

事前調査の対象

事前調査の対象は、建築物、工作物または船舶(鋼製の船舶に限る)(以下建築物等)の解体または改修(封じ 込めまたは囲い込みを含む)の作業を行うときであり、この場合には、事前に建築物等について石綿の有無 を調査することが義務付けられています。

事前調査を行う者

事前調査のうち、建築物に係るものについては、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者と して厚生労働大臣が定めた者となっており、これに該当する者としては、
1 建築物石綿含有建材調査者
2 日本アスベスト調査診断協会に登録した者(2023(令和5)年9月末までに同協会に登録した者)
となっています。(施行時期:2023年10月1日)

事前調査の方法事前調査を行う者

解体等対象建築物等のすべての材料について、1設計図書等の文書を確認する方法(設計図書等の文書 がない場合はこの限りでない)、2目視による確認方法(建築物等の構造上、目視確認が困難な材料に ついてはこの限りでない)があります。
これらの方法により、該当材料が文書および目視で石綿の有無が確認できない場合、分析による調査 を行う必要がありますが、その材料に石綿があるとみなし、石綿則に規定する措置を行った場合は分 析による調査を行わなくともよいとされています。
なお、分析による調査は、適切に分析調査を実施するための知識および技能を有する者として厚生労 働大臣が定めたものとされています(施行時期:2023年10月1日)。

事前調査結果報告書

事前調査結果(分析結果を含む)報告書「建築物石綿含有建材調査報告書」は、3年間保存することが事業者 に義務付けられています。





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